活動レポート

 

豆 『東京衛生病院の遠藤周作ボランティアグループ』
                                            東京衛生病院ボランティアコーディネーター チャプレン 永田英子様

 東京衛生病院では患者様の全人的必要に応えようとする当院の理念に共感した多くの方々がボランティアとして奉仕してくださっています。社会的な経験や能力、あるいは背景を持った人々であるボランティアのみなさんは非専門家として、あるいは同じ問題を抱えるひとりの人として、患者さん、ご家族の痛みやニーズを共有し、共感し、支えるために、スタッフと協力しながらケアに参加してくださっています。

 遠藤周作ボランティアグループは当院で初めてのボランティアとして、グループの結成翌年の1983年に奉仕を始めて下さいました。原山健郎先生から当時の院長、林高春医師への打診によって実現したと聞いています。その後、当院でもボランティア養成プログラムを開始し次々にボランティアが育っています。遠藤周作グループには独自の養成プログラムがありますが、それを基本に、当院での奉仕に加わる前に理念確認のためにチャプレンと時間を過ごしてくださいます。遠藤周作ボランティアであると同時に、当院の理念を共有して共に仕えてくださるチームの仲間として心強く思っています。

 当院では傍らに座って「傾聴」するだけのボランティアは募集しておりません。「傾聴」はひとつの行動ではなく継続的な姿勢だと思うからです。みなさんは、特に患者さんの横に座ってお話を聴くということでなく、ベッドの周辺の整備をしながら、看護スタッフをサポートしながら、そこで療養している方々との時間を丁寧に過ごして、そこにこぼれてくる患者さんや家族のお気持ちを拾おうとして下さっています。それは「傾聴」の姿勢なのだと思います。患者さんのどこが痛いのか、何の病気か、家族の事情も分からない人たちが、ただただ、本当の意味で癒されてほしいと願ってそっとそこに居る・・・優しい空間です。

 「活動」という言葉はニュアンスとして病院では似合わないと私は思っています。相手は弱っている方々です。療養の場に相応しい静かな存在として、丁寧に奉仕くださっている遠藤周作ボランティアグループの皆様に尊敬と感謝を感じています。ありがとうございます。